このように見てみるとき、『細雪』の哀惜の対象となっているものは、戦争(日中戦争、太平洋戦争)で、失われてしまった、それより一つ前のことに思いをはせていることが理解される。そして、このようなことを理解したうえで、この『細雪』を読むならば、まさしく、内田樹の解説に書かれているように「失ってしまったもの」の物語として、読むことができる。
内田樹の「新版解説」を読むために、角川文庫版で読むだけの価値はあると思う次第でもある。
追記 2017-02-04
このつづきは、
やまもも書斎記 2017年2月4日
『細雪』谷崎潤一郎(その四)
[URL]
セコメントをする