『ことり』小川洋子
2021-03-05


2021-03-05 當山日出夫(とうやまひでお)

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小川洋子.『ことり』(朝日文庫).朝日新聞出版.2016 (朝日新聞出版.2012)
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続きである。
やまもも書斎記 2021年3月4日
『寡黙な死骸 みだらな弔い』小川洋子
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芸術選奨文部科学大臣賞の作品である。世評は高いといっていいのだろう。

主な登場人物は、限られている。主人公は、小父さんである。そして、そのお兄さんが出てくる。他には、薬局の店員とほかに幾人か。が、この作品の本当の主人公は、ことりなのかもしれないと感じるところがある。

ちょっと世間の一般の人とはちがったところのある登場人物、その一生を描いていることになるのだが、読み終わって、何かしら妙に充実した感覚が残る。ああ、こういう人間の生き方というのも、一つの生き方としてあるんだなあ、と感じさせるといってもいいだろうか。

この小説のなかに出てくるお兄さんは、ある種の言語の障害をかかえている。普通には、人とコミュニケーションできないようだ。このような症状のことを、言語学の専門の分野で何といっているのか、ここのところは不勉強でよくわからない。

しかし、この小説が、人と人、また、人と小鳥……このあいだのコミュニケーションを軸に展開する小説であることは重要なポイントだろう。人と人とがわかりあえる、コミュニケーションできるとはいったいどういうことなのか、そこのところを、この作品は、文学的に根源的に問いかけているといっていいだろう。

2021年2月18日記

追記 2021-03-06
この続きは、
やまもも書斎記 2021年3月6日
『琥珀のまたたき』小川洋子
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[文学]

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