2008/04/06 當山日出夫
歴史記述における情報概念について 白須裕之
いつもながら、白須さんの発表はすごいと思う。だが、はじめて、このての発表に接する、人文学系の研究者は「???」であるだろう。
そのレジュメの「はじめに」で、まずこう記している。
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人文情報学という分野のためになされた先人の努力の結果、人文系のデータベースやデジタルアーカイヴ等の種々な成果が提出されてきた昨今であるが、人文情報学の基礎を問い直す試みは、その端緒に就いたばかりではないだろうか?
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歴史とは何か、というこれまで数多くの歴史学研究者のみならず、人文学研究者のとりくんできた課題について、論理学でとりくもうとしている。おそらく、実際の史料に基づいて研究をすすめている歴史学研究者には、この発想自体が、うけいれがたいものかもしれない。史料を解読して、帰納的に解釈を導き出すものである……大部分の歴史学研究者は、こう考えているだろう。
しかし、白須さんは、これに対して、大胆に、歴史とは何かを、定性的情報理論によって、「言語」「システム」「モデル」によって、考えようとしている。
史料・資料のなかに埋もれて、こつこつと……という研究もおおいに結構なのであるが、一方で、白須さんの発表のような、「論理」で考えてみるという方向も必要である。ただ、コンピュータをつかっていれば、それで、人文情報学である、デジタル・ヒューマニティーズである、というものではない。
残念ながら、今の日本の状況は、白須さんのような人材を優遇するにいたっていない。
當山日出夫(とうやまひでお)
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