2008/09/22 當山日出夫
『ARG』の341号について、すこし。
紹介されている、新リソースとしては、やはり、
長崎大学附属図書館の近代化黎明期翻訳本全文画像データベース
が、注目される。余計なことだが、この中を見ると、「聖書」があり、仮名が ほどこされている。これは、日本における「聖書」受容史、のみならず、文 字・語彙の史料として非常に貴重。この種のものが、手軽に、読めるようにな っていることは、とても喜ばしい。
それから、京都外大の「ベストセラーになった書物」。意図はわかるのだが、 ARGでも指摘してあるように、その書店かを明記しておいてほしい。書店で の売れた数というのは、その書店での、本の配置にかなり影響される。これが、 日販のデータであれば、話しが別なのであるが。
さらには、CiNiiと機関リポジトリの連携。
必要な情報が、それを必要としている人のもとに、確実にとどくこと、これが 基本の発想であると思う。この観点からは、おおきな前進であろう。
だが、学術書としっても、一方では、書店・出版社にとっては、「一冊つくっ て売っていくらの商品」である。
また、CiNiiがあれば、図書館で雑誌類を必要としない、となっても困る。
さらには、学会・研究会にとっては、論文集の売り上げが、収入の重要な部分 をしめる場合がある。
これら、全体を、どのように、総合手にうまく運用していくかが、これからの、 最大の課題の一つかと思う。
渋沢財団の「企業史料ディレクトリ」、一般に「アーカイブ」というと、公的 なもの、学術的価値のあるもの、という判断にかたむきがちであるが、ビジネ ス・アーカイブ、もまた重要。この先端をいく活動として期待したい。
まだ、他にもコメントしたいことがあるが、とりあえず。
當山日出夫(とうやまひでお)
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