2008/12/16 當山日出夫
印刷博物館でのJADS研究会の感想のつづき。
研究発表の種類は、大きく二つのタイプに分かれる。
第一には、JADSの本来の趣旨にそった内容というべきもの。博物館・美術館・図書館などの、業務にかかわるもの。どのようなシステムが必要か、また、どのようにして運営していくのかなど。
第二には、いわゆる研究の側からのもの。私の発表なども、どちらかといえば、これに属する。
博物館・美術館というと、どうしても、その「収蔵品」についての「研究」に目がいってしまう。だが、その一方で、博物館・美術館や図書館などが、組織としてどのように運営されているのか、そこに必要なコンピュータのシステムは、どようなものであるのか、この方向からも考えないと行けない。
場合によっては対立することもある。収蔵品の管理システムでも、外部の利用者を中心に設計するのか、内部の学芸の立場からりようするかの。目的によって、構築するシステムにもとめられるものは異なる。
これを、単に対立することとして終わらせるのではなく、それぞれの目的があってのシステム構築であることを認識すべきだろう。いきなり汎用性をもとめるのではなく、個別の利用目的ごとに、いったい何のためのシステムであるのかを、吟味することがまず重要。そして、それらを総合するところに、新しい次元のシステムができあがっていくのだろう。
学術情報の横断検索、ということを考えるとき、現場には、二種類あることを確認しておかないといけない。研究者(一般利用者)の立場と、そのコンテンツ(収蔵品や蔵書など)を管理する立場と。この違いを考えないで、メタデータの共有ということは、現実問題として難しい。
今回の、JADS研究会全体を通じての印象としては、まず、上記のようなことが思い浮かんだ次第である。
當山日出夫(とうやまひでお)
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