文字についての私の基本的立場
2009-01-16


2009/01/16 當山日出夫

日本語研究として、主に、文字のことを研究している。だが、そのとき、次の点だけは、個人的に忘れてはならないこととし、常に自覚的でありたいと思っている。

第一に、文字というものを考えるとき、一般的に、対比的におかれるのが、音声言語である。だが、言語=音声、とのみ考えているわけではない。聴覚障害(耳がきこえない)学生を、2〜3年に一人ぐらいの割合で、教えることがある(花園大学、国語史/日本語史)。このような学生にとっては、学習のうえでは、書かれたもの(文字)に強く依存する。

日本語における「書記言語」は学問的に問題であることは承知している。そのレベルの議論とは別に、聴覚障害の人間にとっては、書記言語として日本語、としか言いようのないものが存在する、このことは確かである。

第二に、日本語を表記する文字のなかに、「点字」をふくめて考えること。おそらく、点字で書かれた日本語ほど、純粋なテキストはないかもしれない。目で見る、視覚的に表現されたものだけが、文字であるとは思っていない。

なお、上記のうち、聴覚障害のひとにとって、文字(書記日本語)がどのような意味をもっているかについては、次の論考が参考になる。オープンになっているものなので、以下に記す。

上農正剛.2007.聴覚障害児の言語獲得における多言語状況.Core Ethics,Vol.3.立命館大学大学院先端総合学術研究科
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當山日出夫(とうやまひでお)

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