2009/05/28 當山日出夫
今日、午前中は、京都。で、かえってみると、ある出版社から電話があったよし。東京にある出版社。私の本来の(?)専門である、東洋古典学専門の学術書の出版社。
電話をかけてもよかったが、会社のHPのから連絡した。その返信メールによると、私が、全巻予約で買っているある本(日本古典文学関係の専門書)にミスがあったので、回収したいとのこと。巻数の表記をまちがえたらしい。装丁から奥付にいたるまで。
個人で持っているぶんにはどうということはない。だが、将来、この本が古書として、神保町などで売られるとき。あるいは、図書館や大学研究室にはいるとき。こまってしまう。図書館で、目録が正確に作れない。
今回の件は、やむをえない、と思う。
だが、ふりかえって考えてみると、なんで、私のところに電話がかかってきたのだろう。小規模な出版社だから、そう人手があるわけではない。いいかえれば、それだけ、少部数しか売れていない。また、購入者は、把握できているとうことになる。あるいは、図書館の場合は、NACSISで調べてとう方法もある。
私は、出版社からは、学会での直販で買っている。しかし、なかには、書店を通す場合もあるだろう。個人でも、神保町あたりで、買っている人もいるかもしれない。だが、これも、店頭におくような店は限られている。調べれば(書店が協力すれば)、誰が買ったかも分かる。(この場合、図書館の閲覧履歴などという個人情報の議論をもちだすつもりはない。)
それほど狭い世界である。実際の発売部数は、いったいどれほどかは私としては知らない。しかし、買った人を把握できるぐらいの規模であることは確か。
今回のことは、個人的には、きわめて良心的な処置であると、思う。だが、一方では、本当に学術書出版の世界の狭さというのを実感したということもある。
このようなことについては、次のあたりが関連して参考になるかと思う。
茗荷バレーで働く編集長兼社長からの手紙―ルネッサンス・パブリッシャー宣言、再び。
2009年5月14日
[URL]
岩田書院 新刊ニュースの裏だより
[URL]
少部数出版の学術書の問題、今後とも考えていきたい。
當山日出夫(とうやまひでお)
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