印刷業・出版社のいきのこり
2010-10-21


2010-10-21 當山日出夫

先日、学会で、東京に行ってきた。学会(訓点語学会)がメインの目的であるが、そのついでに、あれこれと、人と会う用事をすませる。出版社と一件、印刷の会社と一件。

ここで、出る話は、やはり電子出版のこと。

まだ、どのように具体的にとりくんでいいのか、わからない、試行錯誤しているというのが、どうやら、たいていのところの本音のような思える。こう書きながら、かくいう、私自身が、まだ、iPadも買っていないのである。

まだ、私自身としては、iPadを買おうという気にはなれないでいる。買って変えない値段ではない。買ってたのしみのもいいのだろうが、楽しむだけで終わってしまいそうな気がする。

理由は二つ。

第一には、これでしか読めないコンテンツがまだ無い(あっても、ごくわずか)という状況がある。どうしても、iPadがなければ、必要な情報が手に入らない、本が読めない、というまでにはなっていない。

第二には、せっかく家を出ているときぐらい、コンピュータやインターネットから解放されたい気分でいる。これは、人によって価値観の異なることであろう。しかし、自分の家で、書斎にいれば、目の前に常にディスプレイがある。外出したときぐらいは、解放されたいのである。ちょっと泊まりがけで家をはなれることがあるといっても、そうたびたびではない。48時間以内には、たいいて連絡がつく。あるいは、どこかで、Gメールに接続できれば、電子メールの確認ぐらいは可能である。

そうは言いながらも、出版社、印刷業の、これからを考えると、これまでの紙の本の資産のうえで商売ができるのは、もう時間の問題だなと考えていることがわかる。いわゆる、電子出版、さらには、印刷を基盤としたデータ処理業にシフトしていかないと、これらからの将来がない。

私など、まだ、紙の本に対する執着がある方だろう。しかし、若い人はそうではないであろう。はじめから電子書籍・・・という世代が生まれてくるのは、時間の問題にすぎない。それに対応するために、今から、何を、どのように準備しておけばいいのか。まだ、その試行錯誤がはじまった段階、という気がする。

當山日出夫(とうやまひでお)
[出版・書物]

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