国旗を掲揚できるようになった日
2016-10-08


2016-10-08 當山日出夫

半藤一利の『荷風さんの戦後』から、つづける。

やまもも書斎記 2016年10月7日
半藤一利『荷風さんの戦後』
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このなかで、「歴史探偵」の記述として、興味深く思ったこと。それは、国旗の掲揚についてである。

「そしてこの前日(=昭和22年5月3日の憲法施行の前日)に、あまり知られていない面白いことがあった。マッカーサーが日本政府に手紙を寄越して、明三日以後、国会、最高裁判所、首相官邸および皇居に国旗をかかげることを無制限に許可するといってきたという。それまで日の丸を掲げてよいかどうか、GHQにたずねてから決めることになっていたのである。ちなみに、無制限に日本領土内で日の丸を掲げてよいと拡大されたのは、昭和二十四年一月一日からなのである。」(pp.111-112)

現代の日本で国旗の掲揚については、様々な意見があることは承知している。しかし、その国旗の掲揚ということが、どのような歴史をもっているかは、もっと知られていいことだと思う。

かつて、日本が連合国(要するに、戦争に勝った側)の支配下にあったとき、国旗は自由に掲揚できるものではなかった。戦争に国が負けるということ、あるいは、戦争に勝つということは、その国の国旗を掲げることをも制限することにつながる。このことは、知られておいてよい知識だと思う。

だからといって、現代の日本で、国旗の掲揚を強制することには、私は批判的である。しかし、国旗を掲げることのもつシンボリックな意味というものを理解したうえで、それに対する賛否を自ら問いかけるべきであろう。

国旗というものは、それを掲揚することにも、また、それを禁止することにも、意味のあるものなのである。

[歴史]

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