2016-12-12 當山日出夫
NHK、2016年12月10日
「漱石悶々」
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今年は、漱石没後100年。いろいろとある。いろんな本がでる。全集が新しくなる。展覧会などもある。だが、NHKが、漱石を題材にして、二回もドラマを作るとは思っていなかった。(録画しておいて、翌日に見た。)
先に放送した「夏目漱石の妻」については、感想など書いてある。
やまもも書斎記 2016年9月27日
『夏目漱石の妻』第一回
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やまもも書斎記 2016年10月3日
『夏目漱石の妻』第二回
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やまもも書斎記 2016年10月10日
『夏目漱石の妻』第三回
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やまもも書斎記 2016年10月17日
『夏目漱石の妻』最終回
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この「夏目漱石の妻」はなかなか面白いと思ってみていたのだが、こんどは、「漱石悶々」として、晩年の、漱石の京都旅行を題材にしている。
はっきりいって、一番おどろいたのは、番組が終わって、京舞の指導のところに、井上八千代の名前を見たときだった・・・
たしかに、テレビで見る限りではあるが、宮沢りえの舞はきれいだった。
晩年の漱石の京都旅行のことについては、『夏目漱石』(十川信介)を見ると記載がある。
十川信介.『夏目漱石』(岩波新書).岩波書店.2016
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この本の252ページ、「京都旅行」として、大正4年3月に、津田青楓にさそわれて京都に旅行したこと、北大嘉に泊まったこと、一力の大石忌をみたこと、そして、祇園の大友の女将の磯田多佳と交際したこと、胃の具合が悪くなってたおれたこと、妻の鏡子がかけつけたこと・・・など、まさにドラマの描いた内容が、簡略に記されている。
ここで、漱石全集…私は、新旧二セット持っている、今度、新しいのが出る…の書簡集を探ってみよう・・・という気にはならない。まあ、ドラマはドラマとして楽しめばいいと思って見ていた。
ドラマとしては、漱石の晩年の日常(漱石山房)と非日常(京都)、それから、人間の心の奥底にある善意と悪意の錯綜する様、そのようなものを感じ取ればいいのかと思う。
作品としては、『硝子戸の中』の前であり、小説としては、『行人』から『道草』の間、ということになる。『硝子戸の中』のことは、ドラマの中でも登場していた。
いわゆる「則天去私」というような発想は、このドラマには見られなかった。それよりも、人間のうわべの行動の背後にある本当の意味、善意と悪意の交錯、いや、善意で行動しながらもそれが相手に伝わらないもどかしさのようなものだろうか。この意味では、『彼岸過迄』『行人』あたりの世界かな、という気がしている。
来年(漱石生誕150年)は、もうドラマは作らないのだろうか。晩年の漱石山房にあつまった人びとの様子を描くだけでも、かなり面白いドラマができそうにおもうのだが。
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