2017-11-05 當山日出夫(とうやまひでお)
『わろてんか』第5週「笑いを商売に」
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前回は、
やまもも書斎記 2017年10月29日
『わろてんか』あれこれ「始末屋のごりょんさん」
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いよいよ、米屋の商売も終わりになった。藤吉とてんは、笑いを商売にすることになる。
この週も見どころはいくつあったと思うが、やはり気になるのは、伊能栞の存在。パーマの機械の契約書を見てもらいに、てんは栞のもとを訪れる。これから、てんが笑いをビジネスにしていくなかで、この伊能栞の存在がどのように関係してくるか、近代的なビジネスのセンスの持ち主として、描かれることになるのだろうと思う。
ここで登場したときも、伊能栞は、大阪方言を使っていなかった。東京方言で話していた。てんが京都方言をつかい、藤吉や啄子が大阪方言をつかうなかで、伊能栞の東京方言はきわだっている。
ところで、次週からいよいよ本格的に笑いを商売にするようである。だが、あるいは、今でもそうだと思うのであるが……その当時、寄席の興行ということには、その社会の利権がからんでいるはずである。いきなり米屋が転業して、寄席商売を始められることはないであろう。そこには、いろんな壁がたちはだかっているにちがいない。これを、これからどう描くのか気になるところである。
回想シーンで、藤吉が寄席に行ったときのことがあった。また、長屋で、啄子が藤吉に怒りをぶつけるシーン。これらのシーンが、シリアスでありながら、どこかコミカルであると同時に、また切なさのあるような描き方であったのが印象に残っている。
人が笑うのは、楽しいときばかりではない。人生の苦労のなかでも、人は笑う。あるいは、笑いをもとめる。そのような笑いの側面を、このドラマは、描いていくことになるのだろう。
大阪の笑いビジネスを描いたドラマだからといって、見ていて笑えるドラマ……喜劇……になるかというとそうではないだろう。それを期待して見てはいけないと思う。人生の苦楽の裏側にある、哀切をふくんだ笑いこそ、このドラマに期待したいと思っている。
追記 2017-11-12
この続きは、
やまもも書斎記 2017年11月12日
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