『なつぞら』あれこれ「なつよ、優しいわが子よ」
2019-09-01


2019-09-01 當山日出夫(とうやまひでお)

『なつぞら』第22週「なつよ、優しいわが子よ」
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前回は、
やまもも書斎記 2019年8月25日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、新しい命を迎えよ」
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このドラマもここから終盤というところだろうが、私にはいまひとつ面白く感じられるところがない。つまらない、というのではないが、ドラマとして何をうったえようとしているのかが、はっきり感じられないのである。

働く女性、しかもアニメーターという新しい職業において新分野を開拓していく女性……これが、基本のモチーフにはあるのだろう。だが、そうであるわりには、どうもうまく話がはこびすぎてしまっているように思える。

一番の問題は、やはり出産と育児である。ここのところが、ヒロイン(なつ)の周囲の人びとの好意でどうにかなっている、という描き方なのが、どうにも、ステレオタイプにすぎる印象がある。社会の制度(保育園など)、それから、会社の組織、労働組合、というものも片方には必要だろう。このような制度的な問題をぬきにして、夫(一久)などの家族、それから知人の好意だけで、乗り切っていっている。

これはこれでいいのかもしれないが、しかし、やはりここは、「開拓者」としてのヒロイン(なつ)を描くとなれば、立ちはだかる様々な社会的な問題についても、きちんと描いておくべきなのではないだろうか。

また、このドラマの後半になって、なつがアニメーターになってからの部分で、どのようなアニメーションをめざすのか、アニメーションには何が可能なのか、問いかけることが無くなってきたようにも思えてならない。ただ、アニメーターといいう職業についているだけではなく、アニメーションの可能性をどのように模索してきたのか、そこのところが一番肝心な部分ではないだろうか。このアニメーションの可能性を追求するという要素が、このところの展開では乏しくなっているように思える。

このドラマも、あと一ヶ月である。次週は、北海道でいろいろあるようだ。これを楽しみに見ることにしよう。

追記 2019-09-08
この続きは、
やまもも書斎記 2019年9月8日
『なつぞら』あれこれ「なつよ、天陽くんにさよならを」
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[テレビ]

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