『スカーレット』あれこれ「愛いっぱいの器」
2019-12-29


2019-12-29 當山日出夫(とうやまひでお)

『スカーレット』第13週「愛いっぱいの器」
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前回は、
やまもも書斎記 2019年12月22日
『スカーレット』あれこれ「幸せへの大きな一歩」
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この週で、父がなくなった。そこのところの経緯をじっくりと描いていた週であった。

この『スカーレット』というドラマは、緩急がはっきりしている。いそいで話しをとばしてしまうところは、あっというまに先に進んでしまう。だが、じっくりと描くとなると、本当に丁寧な描写になる。

父が病におかされる。余命いくばくもないらしい。その死を目前にしての家族の気持ち、周囲の人びとのこころづかいといったものを、非常にゆっくりと時間をかけて描いていた週であった。これまで、朝ドラでは、何人もの人の死を描いてきている。そのなかにあって、この『スカーレット』の父の死のシーンは、特に印象に残るものではないだろうか。

そして、週の最後になって、ジョージ富士川の再登場であった。ここで、喜美子は自分自身が陶芸家になる気持ちを確認することになるようだ。陶芸の技術は夫の八郎から学ぶことができるかもしれない。だが、芸術という創造の世界になると、完全に個人の領域のことになる。(近代における芸術とは、そのようなものである。)

これから喜美子は陶芸家になっていくのであろう。そのとき、家族の一員、母であり、妻であるということと、創造にたずさわる芸術家であることと、この両面をどのように描いていくことになるのだろうか。

芸術の世界のことを描くのは、近年の朝ドラでは珍しいことかもしれないと思う。ともあれ、年内の放送は終わった。陶芸家として自立する姿を描くのは、来年の放送になってからのことであろう。楽しみに見ることにしよう。

2019年12月28日記

追記 2020-01-12
この続きは、
やまもも書斎記 2020年1月12日
『スカーレット』あれこれ「新しい風が吹いて」
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[テレビ]

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