2020-04-24 當山日出夫(とうやまひでお)
非常勤講師で教えている大学からは、まだ正式の通知はないのだが、たぶん前期の間は、オンライン授業になると考えている。予定では、通常の授業を5月11日から開始ということだが、たぶん無理だろう。すでにニュースなどでは、緊急事態宣言の延長をいつどのように決めるかということが、報じられるようになってきている。この先のことを楽観視する要因はひとつもない。
学生の履修登録が済んだ段階で、私の担当している日本語史の科目について、オンライン授業でどのように行うか、基本の方針を、大学のLMS(Learning Management System)「学生ポータルサイト」に掲載しておいた。(テキスト、PDF、Word文書ファイル、同一内容)。
基本的には、教材をオンラインで配布して、レポートを提出する。テキストを読み、文章を書くということを基本とした。
世の中の他の大学の動きなど見ていると、すでに前期の授業はオンラインと決めたところもいくつか目につく。京都の大学でも、その方針がHPなどで確認できるところが、いくつかある。
オンライン授業といっても、やり方は様々である。たとえば、WEBカメラとマイクをつかっての、リアルタイムでの双方向通信もある。その代表が、ZOOMの利用だろう。
だが、ZOOMの利用については、それを推奨する学校もある一方で、否定的な学校もある。セキュリティの問題もあるし、また、データ通信量の問題もある。あるいは、それに代わるものとして、音声データつきのPowerPointのスライドという方法もある。
これらの方法があるとしても、何よりも問題なのは、学生の利用可能な通信環境である。スマホを持っていない、パソコン(インターネットにつながっている)を持っていない、という学生が少なからず存在する。そのような学生が学校のPCを使おうと思っても、今は立ち入り禁止になってしまっている。(これは、特別に、PC利用のための許可を出すことでなんとかなるかもしれないが。)
とにかく、今の学生のコンピュータ利用の環境、インターネット接続の環境というのは、劣悪と言っていいだろう。自分の部屋の自分のパソコンがあり、固定光回線でインターネットにつながっている、というのは希少であると言ってもいいだろうか。
私が、オンライン授業を計画するときに考えたのは、次のようなことである。
より多くの学生が、より公平に、より無理なく、より継続的に……そして、それを担当する教員の側でも同じように、継続可能な方式は何であるか、ということである。
ところで、日本語史の科目で教えている内容は、基本的に、文字・表記、あるいは、文章についてのことである。大きなテーマとしては、日本文学はどのように書かれてきたか、ということで設定している。このような内容の場合、配布レジュメや解説文を読んで、それについてレポートで答えるという形で、十分になりたつ。いや、このようなテキストをベースにした授業の方が、より望ましいとさえも言えるかもしれない。
これが、音声や音韻、アクセントなどについての授業だったら、何らかの形で、音声や画像データを、学生に見聞きさせることが必用になる。しかし、文字や表記、文章といった分野のことであるから、基本的には、書いたものをじっくり読んでくれれば、それで教えたいことの意図は伝えることができる。
これまで(昨年度まで)、授業のプリントを、毎回A4で1枚、1ページあるいは裏表2ページで作って配布してきた。終わると、大学の学生ポータルに、PDFにして置いておくことにした。紙のものは、残さないことにしてきている。だから、大学の学生が利用するシステムに教材を置くことについては、私としては慣れているので問題はない。今回は、例年使ってきている教材プリントに、解説文を加筆したものを送信することを考えている。毎週読む負担を考えると、4ページ以内ぐらいだろうか。
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