『源氏物語』(5)蓬生・関屋・絵合・松風・薄雲
2020-07-09


2020-07-09 當山日出夫(とうやまひでお)

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阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男(校注・訳).『源氏物語』(5)蓬生・関屋・絵合・松風・薄雲.小学館.1998
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続きである。
やまもも書斎記 2020年7月7日
『源氏物語』(4)須磨・明石・澪標
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第五冊目である。「蓬生」から「薄雲」をおさめる。

この冊に収められた巻を読んで思うことは、『源氏物語』における子どもの描写である。明石の君が、姫君を出産する。その女の子を、光源氏のわたすことになる。「松風」から「薄雲」の巻にかけて描かれる。

ここを読んで、幼い明石の姫君の様子がいかにも微笑ましい。また、紫の上のその子ども対する可愛がりようも、こころにとまる。このあたり、日本文学のなかで、子どもというものがどのように描かれてきたのかという観点から見るならば、特筆すべき箇所になるにちがいない。

それから、これは、文字や仮名について勉強していると常識的に知っておくべきことになるが、「絵合」の巻に出てくる、「草」(そう)。草仮名のことである。『源氏物語』の成立が、一一世紀のはじめごろとして、それより少し前の時代設定でこの物語が書かれている、としても、それは、仮名(平仮名)という文字の成立よりは後の時代のことになる。その時代設定において、いわば現代風の、当世風の仮名の書きぶりというものがあったのであり、またそれは、草仮名とも区別されるものであったことが、理解される。

2020年6月19日記

追記 2020-07-13
この続きは、
やまもも書斎記 2020年7月13日
『源氏物語』(6)朝顔・少女・玉鬘
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[文学]

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