2021-04-12 當山日出夫(とうやまひでお)
小川洋子.『夜明けの縁をさ迷う人々』(角川文庫).KADOKAWA.2010(KADOKAWA.2007)
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続きである。
やまもも書斎記 2021年3月25日
『貴婦人Aの蘇生』小川洋子
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この短篇集は面白い。
収録してあるのは、次の作品。
曲芸と野球
教授宅の留守番
イービーのかなわぬ望み
お探しの物件
涙売り
パラソルチョコレート
ラ・ヴェール嬢
銀山の狩猟小屋
再試合
比較的短い短篇をおさめてある。よく、こんな奇妙な小説を思いついたものであると感じさせる作品ぞろいである。
奇妙な話しでありながら、ここには、独特のユーモアがある。それも、ちょっぴりブラックユーモアというおもむきがある。同時に、どことなくエロティシズムを感じさせるところもある。透明感はあるが、しかし濃厚な感触がある。
ちょっとした街角の、ちょっと風変わりな人びとの、ちょっと変わった出来事を描いているといっていいだろうか。小説という形式のなかで、ふとした奇妙な感覚の物語を語っている。これは、まぎれもなく、小川洋子の文学世界なのだなということを感じさせる。
2021年4月2日記
追記 2021-04-19
この続きは、
やまもも書斎記 2021年4月19日
『完璧な病室』小川洋子
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