「最深日本研究〓外国人博士の目〓」
2024-04-22


2024年4月22日 當山日出夫

レギュラー番組への道 最深日本研究〓外国人博士の目〓

私は、YouTubeは基本的に見ない。だから、VTuberということばは知識としては知っているのだが、実際にそれを見るということはない。(YouTubeを使ったのは、COVID-19のとき、オンデマンド授業ということで、しかたなしに使ったぐらいである。それも、基本は、音声データ付きのパワーポイントとした。)

バーチャル空間のなかで、美少女のアバターを使っている男性たち。美少女キャラクターは、圧倒的に男性に多い。こう書くとどうも、フェミニストというような人たちの顰蹙を買いそうな存在に思える。はたして、このような人びとの実態はどのようなもので、また、それは今の日本の社会、あるいは世界のなかで、どう受容され理解されているのだろうか。これは、とても興味深いテーマである。

日本でも研究はあるのだろう。たぶん、私の興味があまりその方面に向かないから知らないだけだと思う。しかし、テレビの番組などで、VR世界のことをとりあげるということはあまりないようにも思える。最近の技術の進歩で、このようなVRが可能になったということはニュースで扱われることが多いが、その段階にとどまっている。

NHKとしても、「レギュラー番組への道」という実験的なこころみが許されるところで、しかも、外国人(ロシア生まれのスイスの人ということになるのだろう)の研究者の視点から見るということで、この番組が出来ている。

美少女キャラクターになる、日本人男性、そして目指すものはカワイイである。カワイイということばは、私の経験では、一九八〇年代ごろから広く若い人たち、それも女性の間で使われてきた概念だと感じている。それを経て、今では、男性がカワイイ存在に自己を託すようになってきている。

街中にあふれる美少女キャラクターについては、現代ではときとして、PCではないとして、クレームがつくことがある。リベラルというような立場からは、女性のセクシュアリティを商品化している、というような批判にさらされることになる。

だが、ひとたびバーチャル空間にはいれば、美少女キャラクターであふれている。「びばにく」(美少女、バーチャル、受肉)ということばは、この番組で知った。はたして、日本語として定着するだろうか。

また、これは、一昔前のような、オタクとも違う(ように思える。)が、しかし、きちんと分析し理解できる自信はない。

おそらく、近い将来には、バーチャル世界にもAIの流れが押し寄せるだろう。AIの作ったアバターで、AIの声で活動するということあるにちがいない。もうすでにあってもおかしくない。それに自動翻訳機能があれば、簡単に国境とか言語の壁を越えられる、かもしれない。

この人間の世界のことを考えるのに、バーチャル空間のことをふくめて考えなければならない時代になったことは確かだと思う。そして、人間における性の問題とも深くかかわる。おそらくバーチャル空間は、人間が持っている性(生物的な、また、文化的で社会的な)から、解放されることが可能な世界として、これからの人間の世界のなかに存在することになるだろう。

しかし、また、バーチャルな世界だからこそ、現実の世界の、職業、社会的階層、性別、社会的文化的な背景などから自由であると同時に、それらが無意識のうちにはいりこんでくる世界になるかもしれない。その日本的な現れが、男性による美少女キャラクターということになるのかとも思う。

2024年4月18日記
[テレビ]

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