2024年6月13日 當山日出夫
ドキュメント20min. 北区赤羽 路上にて
行ってみたら人がいなかった……普通ならそこであきらめて帰るところだろうと思うのだが、この時の番組のスタッフは、逆にそこを出発点にして、人を追っていく。「ドキュメント72時間」の副産物なのであるが、これは面白かった。
いったいどんなおじさんだったのだろうか。
赤羽の街も大きく変わった。しかし、おじさんは変わらなかった。こういう生き方をする人間が、まだかろうじて生きてこられたのが、今の二一世紀の初めごろまでということなのだろう。
私が学生のころまでは、東京でも街中を歩いていて、路上で靴磨きをしている人を見かけたと記憶する。私自身は、それを利用したということはなかった。磨いてもらうほど上等の靴を履いていなかった。もう、東京で路上の靴磨きなど、絶滅したといってもいいのかもしれない。
言ってもしかたないことだが、もし、一年早く取材していれば、おじさんをあつかった「ドキュメント72時間」が出来ていたのかもしれない。だが、これも運命である。NHKの番組に出ることなど、おじさんは望まなかったかもしれない、と思ったりもしてみる。
2024年6月10日記
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