『カムカムエヴリバディ』「1948-1951」
2025-01-12


2025年1月12日 當山日出夫

『カムカムエヴリバディ』 「1948-1951」

最終的に、安子、ローズウッド、雪衣、勇、それからるい、また算太、これらの人物がどのような人生をあゆむことになるのか、(最初の放送を見て)知っている。だからということもないが、それぞれの人物のこころのうちが、さりげなく描かれ、気持ちの変化をたどることができる。やはり、よく出来たドラマだと感じるところである。

印象に感じるシーンがいくつかあった。

算太が帰ってきた。今の用語でいえば、戦場のトラウマをかかえている。それを、美都里がやさしくうけとめる。廊下の二人を、安子、千吉、勇、がじっとみつめている。余計な科白はなかった。こういう場面は、説明しない方がいい。

神社の境内での、ローズウッドと安子との会話。「こもれび」というのは英語には無いとローズウッドが言っていた。そんなものかなと思う。自然の現象としてはあるはずだが、それを認識してどのようなことばで表現するかは、言語によってことなる。構造言語学の立場からは、ごく自然なことである。

そのこもれびの境内で、安子とローズウッドが影から影へと跳びはねるシーンが、とてもいい。まさに、こもれびのなかで撮影する価値のある場面である。

千吉は、勇に安子と結婚しなさい、と言う。これは、この時代においては、戦争未亡人となった安子の身の振り方としては、自然なことであったと言うべきであろう。だが、最終的に安子がどう判断することになるかは、このドラマの展開の大きな転換点になる。

神社の座敷のなかで、テーブルをはさんで、安子とローズウッドが英語の教材を考えるシーンがいい。背景が障子だったのだが、そこに庭の竹の影がうつっている。それが、風が吹いてそよいでいる。この週で出てきた、こもれび、ということばとあいまって、非常に効果的な背景となっている。

2025年1月10日記
[テレビ]

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