『とと姉ちゃん』「鞠子、平塚らいてうに会う」「常子、商品試験を始める」
2025-10-19


2025年10月19日 當山日出夫

『とと姉ちゃん』「鞠子、平塚らいてうに会う」「常子、商品試験を始める」

この週であったのは、平塚らいてうのことと、鞠子の結婚のこと。

『とと姉ちゃん』は最初の放送のときに見ているのだが、戦後になって、「あなたの暮し」を刊行するところあたりから、あまり面白くなくなってきたと憶えている。二回目に見ても、同じように感じる。

その理由は、戦後の混乱期から、高度経済成長の時代にかけての、日本の人びとの生活の変化ということが、ドラマの中であまり具体的に描かれていないということがある。この時代は、日本の人びとの生活が、非常に大きく変わった時期でもある。

金曜日の回で、台所の写真を掲載するということがあったが、日本の生活において、台所の持つ意味が変わってきたのは、団地ができて、DK、LDKということばが広まってくる過程があってのことだろう。それに先だった、電気炊飯器が登場し、冷蔵庫が普及するようになった。

電気炊飯器ができるまでは、基本的に、ご飯はかまどで炊くものであった。都市の一部では、ガスが使えたのだが、それは、日本全体から見れば、ごく一部ということだっただろうと、私は思っている。(日本では、どのようにしてお米のご飯を炊いてきたのか、その社会史というような研究はあるのだろうか。)

こういう台所家電製品の登場によって、人びとの生活は大きく変わることになったのだが、こういう側面からのアプローチが、このドラマでは感じられないのである。

また、昭和30年代から40年代まで、都市と地方とでは、生活のスタイルにも、大きな違いがあった。これが急速に画一化し、都市的になっていったのが、高度経済成長期におこったことでもあった。

「あなたの暮し」として、こういう日本の人びとの生活が変わってきたことを、どうとらえて雑誌の編集にのぞんでいたのか。実際の「暮しの手帖」がどうだったかということもあるが、雑誌をとおして見た、日本の人びとの生活の感覚ということが、描けなかったドラマだったのかとも、今になってみると思うことになる。

とはいえ、ドラマとして見ているぶんには、そこそこ面白く作ってあるとは、思うのではあるが。

2025年10月18日記

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