2026年1月16日 當山日出夫
ダークサイドミステリー 謎の未解決殺人 ブラック・ダリア事件〓黒衣の美しき花の伝説〓
これは、とても有名な事件らしい。この番組であつかうのに似つかわしいというべきだろうか。
事件そのものは、一種の猟奇殺人ということなのだろうが、それをめぐる言説の方が興味深い。
第二次世界大戦が終わった直後の、アメリカの社会は、いったいどんなだったのだろうか。凱旋した兵士たちにむらがる若い女性たち、次々から次へとキスしていりるのだが、こういう光景は、今では普通はありえないだろう。
これをフェミニズムのという視点から見れば、たしかに、この時代の問題点というのは見えてくることかとは思う。女性の教育、労働、結婚、ということについては、現代とは大きく違っている。(この番組の中では言っていなかったが、そこに「人種」の問題もからめば、さらに複雑で混沌とした様相になるだろう。)
「ブラック・ダリア」……というイメージが形成される、社会的文化的な背景については、今から考えれば、かなり問題があったといえるだろう。えてして、犯罪にあった被害者の方にも、なんらかの問題があったとされる。日本だと、「毒婦」という古めかしいことばが思いうかぶ。
事件があって、新聞でスキャンダラスに報じられると、いろんな情報が一般からよせられる。その中には、自分が犯人だ、というものもあった。手帖など送ってきているのだが、はたして本当に犯人からのものだったのだろうか。
気になったこととしては、フェミニズムの視点からのコメントとして、女性のコモディ化(モノ化)というのは、まあいいとしても、女性のセクシュアリティは女性のものである、というのはどうだろうか。セクシュアリティというのは、社会の中で、男性と女性がいて、全体の関係(その歴史と文化)の中で社会的に構築されるものである、と私は理解している。だから、ジェンダー、ということばをつかい、生物学的な意味合いでのセックスということばを使わなくなった。(そういえば、昔は、ジェンダーということばを使うときには、もともとは言語学の文法用語であって、とことわっていたものである。)
フェミニズムの視点として、女性の観点から、女性のことだけを見ていても、その時代の社会の中に生きていた人びとのこと(その中には、老若男女、性的少数者、その他のいろんな人たちがいる)が、分からないだろうと思うのだが、どうだろうか。
見てみると、ブラック・ダリア、ということでは、Wikipediaに詳細な記事があるし、いろんな本も出ている。今から、こういう本を読んでみようとは思わない。
第二次世界大戦後、太平洋戦争が終わって、アメリカは無論のこと、日本、ドイツ、ソ連、その他、世界のいろいろな地域で、人びとはどのような生活を送っていたのか、ようやく歴史のこととして語れる時代になってきたのかという気もしている。
2026年1月12日記
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