2008/03/07 當山日出夫
小形さんのブログ「もじのなまえ」の
「束縛」という視点について (1)
で、白土三平の『カムイ伝』がまず引用(言及)してある。最初の段落で、「遠くまで行けるから」ということばにつけてある。
ここで使われているのは、小学館文庫版の『カムイ伝』の表紙画像。
ところで、私は、『カムイ伝』『カムイ外伝』は、2セット持っている。小学館文庫版と、最近の、カムイ伝全集版、である。そのうち、小学館文庫版の『カムイ外伝』第11巻の解説を、宮崎学、が、書いている。その第9巻に言及して次のように記している。
カムイが属していたとされる忍者群は、権力的諜報機関であるために、軍隊的規律を持っている。白土はこの規律を掟として、カムイに立ち向かわせたのである。離反という形を持ってである。
しかし、安兵衛たちアウトローの間に存在する掟とは、現代的表現を使うならば、市民的自治としての掟である。規律イコール掟一般として否定してしまったところに白土の限界があり、安兵衛の心理を大雑把にしか描けないということになったのだろう。(p.379)
では、文字における規範・基準・規格……は、どうであろうか。軍隊における規律のようなものか。あるいは、市民社会における共同体のルールのようなものか。
JISは「日本工業規格」、いわば軍隊的規律に近いだろう。では、常用漢字はどうか。印刷標準字体は。
一方で、康煕字典でもない、印刷標準字体でもない、拡張新字体などが、一般的であるという現実もある。これは、景観文字調査などから、明らかになる。
難しい問題なので、いろいろ考えねばならないが……白土三平では、個人的には、『ワタリ』が一番好きである。特に、「ゼロの忍者」……本当の敵は人間の心のなかにいる。
當山日出夫(とうやまひでお)
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