2009-03-13
2009/03/13 當山日出夫
これは、「日本人論」なのである。なぜならば、『蕎麦ときしめん』は、『日本人とユダヤ人』のパスティーシュであるから。
当然ながら、『日本人とユダヤ人』(山本七平=イザヤ・ベンダサン)は、基本的には日本人論、なのである。たしかに、山本七平は、いろいろと物議をかもす発言をする人であったにはちがいない。しかし、『日本人とユダヤ人』に登場する「ユダヤ人」が、実際のユダヤ人である必要は無い。それは、『ガリバー旅行記』に登場する「ヤフー」が、実在する必要が無いのと同じこと。こんなこと、読めばすぐにわかることだろう。
こんな簡単なこともわからないで、すこし昔のことになるが、この本に描かれた「ユダヤ人」がいかにうさんくさいかを論証することによって、山本七平を論断しようとした、新聞社があった。本の読み方を知らない。言うまでもない、朝日新聞社である。
まあ、そういうことは、昔話にして、読むことにしよう。
清水義範.『接客セブンティーズ −清水義範パスティーシュ100 四の巻−』(ちくま文庫).筑摩書房.2009
當山日出夫(とうやまひでお)
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