『おんな城主直虎』あれこれ「天正の草履番」
2017-10-10


2017-10-10 當山日出夫(とうやまひでお)

『おんな城主直虎』2017年10月8日、第40回「天正の草履番」
[URL]

前回は、
やまもも書斎記 2017年10月3日
『おんな城主直虎』あれこれ「虎松の野望」
[URL]

今回の見どころは、井伊というイエとは何であるか、ということだと思う。

直虎(おとわ)は、井伊のイエを再興するつもりはないと言っている。しかし、井伊の一族のまとまりはあり、直虎(おとわ)は、実質的にそのリーダーである。当主と言ってもよいかもしれない。実質的に、井伊谷の土地とそこに住む人びとの暮らしをまもることが、直虎(おとわ)のエトスなのである。

虎松(万千代)との間で言っていたこと。直虎(おとわ)は、もはや百姓にすぎないと。ここで、中世、戦国時代の百姓とはなんであったか、ちょっと気になるところではあるが、少なくとも武家ではなくなったということと理解しておく。武家ではないかもしれないが、しかし、井伊谷の支配権を、実質的に掌握している立場である。

一方、虎松(万千代)のエトスは、井伊のイエを再興することにある。そして、それは、必ずしも、井伊谷の土地にしばられてはいない。井伊というイエが重要なのである。井伊を名乗ることに意味がある。

これは、随分と観念的、理念的な、イエの意識である。抽象的と言ってもよいかもしれない。だからこそ、虎松(万千代)は、妥協ができない。直虎(おとわ)のように、実質的な支配権を獲得していればよい、という妥協点を見いだすことができない。

もちろん、後世の我々としては、井伊のイエが、井伊谷から離れて、徳川に忠誠をつくす立場になることを知っている。井伊谷へのパトリオティズム(愛郷心)のもとにあるのが、直虎(おとわ)であるならば、井伊というイエと徳川への忠誠心で行動しているのが、虎松(万千代)ということになるのであろう。

ところで、この回では、ネコが二匹登場していた。ネコ和尚にだかれていた茶色ネコ。このネコ、昔からのものなのか。どうやら、ネコも新しくなっていたように見えたが、どうなのだろうか。ドラマとはいえ、同じネコをずっと飼っているとしたら、かなりの長生きである。そして、もう一匹は、直虎(おとわ)の家でのネコ。前回のようにカゴの鳥を見ていた。

次週、虎松(万千代)の徳川への忠誠心が、どのように描かれることになるのであろうか。

追記 2017-10-17
この続きは、
やまもも書斎記 2017年10月17日
『おんな城主直虎』あれこれ「この玄関の片隅で」
[URL]

[テレビ]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット