NHK 映像の世紀プレミアム 第15集「東京 夢と幻想の1964年」
2020-01-07


2020-01-07 當山日出夫(とうやまひでお)

映像の世紀プレミアム 第15集「東京 夢と幻想の1964年」
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今年、二〇二〇年の東京オリンピックは、意外と予想外にもりあがって成功ということになるのかもしれない。ふとそんなことが見終わって頭をよぎった。

昨年、NHKの大河ドラマは『いだてん〜東京オリムピック噺〜』であった。欠かさずに見ていた。「事実をもとにしたフィクション」であるということは分かっていても、やはり、そこには、実際にあったオリンピックの歴史というものを感じるドラマであったことは確かである。

「映像の世紀プレミアム」の第15集は、日本国内の資料映像だけをつかった編集になっていた。これは異例のことかもしれない。(これまでの放送を全部見ているというわけではないのだが。)

ともあれ、一九六四年のオリンピックと、それにまつわる各種のエピソードを、豊富な映像資料で見せてくれていた。特に、田畑政治という人物については、『いだてん』の後半の主人公ということもあって、ある意味で予備知識があった。ドラマではこのように描いていたが、実際の田畑はこのようであった、そんなところも感じさせるところがあった。

見ていて思ったことなど、思いつくままに書いてみる。

新幹線が東京オリンピックに間に合わせるように開発されたことは知っていた。だが、その開発にたずさわった技術者たちが、旧陸海軍の技術者たちであったことは知らなかった。特に、その車体のデザインのもとになったのが、特攻兵器である桜花に由来するということは、感慨深い。その新幹線も、モデルチェンジして、開業当時のものはもう走っていない。

時代でいえば、一九六四年までの時代……昭和三〇年代、ということになろうか。その時代の東京を私は知らない。一九五五年、昭和三〇年の生まれであるから、なんとなく、記憶にはある。住んでいたのは、京都の宇治市である。テレビなどによる報道の記憶としてはもっている。だが、実際の体験として、昭和三〇年代の東京というものは知らない。

この時代について、映画『ALWAYS 三丁目の夕日』などでは、非常にのどかな時代として描いている。この映画は、今でも、時々テレビで放送していたりする。今からふりかえって、昭和三〇年代の東京を、どのようなイメージで語るか、これはこれとして興味深いものがある。

この意味で、昭和三〇年代の東京が、東京オリンピックを前にして大改造、激変の時代であったことが、今回の放送を見ていて理解される。また、決して、過去の東京が、そんなに牧歌的な時代ではなかったともいえるかもしれない。たとえば、街中いたるところにゴミが捨てられていたなど、このような点についていえば、今の東京は、ずっときれいな街になっているといえるだろう。

慢性的な東京の道路渋滞。これも『いだてん』では描かれていたことである。それを解消するために、道路整備、高速道路の建設となる。日本橋も、その上を道路が走ることになった。私が東京で生活するようになったとき、すでに日本橋の上には首都高が走っていた。言われてみなければ、それが川であり、日本橋という橋ということもわからない状態であった。

「売血」ということばは知っていた。だが、それが東京オリンピックのころまで普通におこなわれていたことは知らなかった。また、ライシャワーの件も。(今では、アメリカのハーバード大学には、ライシャワー日本研究所がある。)


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