『青天を衝け』あれこれ「青天の栄一」
2021-03-30


2021-03-30 當山日出夫(とうやまひでお)

『青天を衝け』第7回「青天の栄一」
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前回は、
やまもも書斎記 2021年3月23日
『青天を衝け』あれこれ「栄一、胸騒ぎ」
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この回で描いていたのは、『青天を衝け』というドラマのタイトルの由来、といってもいいだろう。

まずは、例によって徳川家康の登場からであった。江戸時代、漢詩が多くの人びとによって読まれ、また作られていたことの説明から。このあたりは、入門的な知識としては妥当なところであったかもしれない。ここも専門的にいえば、日本における漢詩文の歴史ということを、論じなくてはならなくなる。そこを、さらりと流していた。

ただ、最近出た本としては、岩波文庫の『江戸漢詩選』(上・下)揖斐高(編訳)がある。たまたまということであったのだろうが、時宜にかなった番組のスタートであると感じた。

その「青天を衝け」であるが、これは栄一が作った漢詩のなかにある「衝青天」からとったものということになる。このあたり、ドラマのなかでは、漢文訓読ということではなく、漢詩の現代日本語訳という形式であつかってあった。ここは漢文訓読ということであった方が、雰囲気はでるにちがいないが、やはり一般の視聴者には、分かりにくいと判断してのことだったのだろう。

ところで、ドラマの方はというと、基本的に次の二点だろうか。

第一には、栄一をめぐる血洗島の様子。

ここでは、一つには、「尊皇攘夷」ということで時流に流されていく村の若者の一人という描き方であった。これは、たぶん、その当時の雰囲気としては、そんなものだったのだろうと思うところでもある。

もう一つは、栄一と千代とのこと。千代を演じているのは、橋本愛。屈折した感情というものをうまく表現していたように感じる。

第二には、江戸城のドタバタ騒ぎ。

一橋慶喜を次の将軍にということになるようだが、(実際、史実としては、慶喜が最後の将軍となる)、そこにいたる過程は、どうみてもドタバタ騒ぎである。最後に、井伊直弼が登場していたのだが、これから安政の大獄があることを考えてみるならば、どうも登場の仕方が、軽々しいという印象をもってしまう。

このあたり、このドラマでは、江戸幕府の最後の有様を、ドタバタ騒ぎのあげくに、慶喜が最後の将軍として英断を下したということになるのかと思って見ている。そう思って見ると、水戸の斉昭の軽薄さも、なんとなく理解できる。(普通ならもっと重厚な演技で見せるところだろうと思うのだが。)

以上の二点が、この回を見て思ったことなどである。

次回、栄一と千代とのことが発展し、さらには、安政の大獄ということになるようだ。楽しみに見ることにしよう。

2021年3月29日記

追記 2021-04-06
この続きは、
やまもも書斎記 2021年4月6日
『青天を衝け』あれこれ「栄一の祝言」
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[テレビ]

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