2024年4月19日 當山日出夫
舟を編む 〜私、辞書つくります〜
これまでにも書いたことだが、辞書の見出し語の認定ということは、そう簡単なことではない。なにをもって一語とするか、かなり難しいことがある。辞書の項目の選定ということは、ことばを選ぶだけではなく、そのことばを一語と考えるかどうかという部分もふくむ。
ミスがあるのは、人間のやっていることだからいたしかたないと思う。だが、そのミスを避けるためにどれだけの工夫と手順を踏むかが、現実的な課題となる。辞書編集という場合は、そこに時間とかコストとかの問題もからんでくる。
私はこれまでに索引をいくつか作ってきた経験があるのだが、手作業でカードを繰っていく作業は、簡単な作業ではあるが、注意力の持続が必要な根気のいる仕事である。現実的には、一日にあつかえるカードの数は、一人で一万枚が限界であるというのが、経験的に理解していることである。一〇〇万枚のカードを複数の目でチェックするのにかかる、人的、時間的コストはかなりのものになる。実際の作業に必要なこととしては、『大渡海』に収録することばを見るだけではなく、収録しないとしたことばも見なければならない。
そして、これは、かならず複数の目でダブルチェックの必要がある。(ドラマでは、複数の人間によるチェックということにはなっていなかったが。映画版では、ダブルチェックになっていたが。)
ところで、このドラマは、ドラマのなかで出てくることばはかなり注意して選んで使っていると思う。この回に出てきたことばでは「ウザ」は、私は使用しない。聞けば分かることばなので、理解語彙ではあるのだが。
さて、次週、最終回である。COVID-19の時代、辞書はどのような形で世に出ることになるのか、楽しみに見ることにしよう。
2024年4月16日記
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