50ボイス「べらぼう〓蔦重栄華乃夢噺〓「あなたのべらぼうは?」」
2025-01-03


2025年1月3日 當山日出夫

50ボイス べらぼう〓蔦重栄華乃夢噺〓「あなたのべらぼうは?」

このところ、『べらぼう』関係の番組が立て続けにあるので、順番に録画して、見て、思ったことを書いていくのが、ちょっと大変になってきた。

「50ボイス」は、お正月の夕方にある。ここ数年、見てきている。

関係者五〇人による、『べらぼう』関係の短い映像やコメントをまとめて編集したものなのだが、結構おもしろい。

出版関係の考証は、鈴木俊幸さんになるようだ。近世の出版文化史の第一人者であるから、ここのところは信用できることになるだろう。神保町の、江戸時代の古書を専門にあつかう古書店……日本の古典籍に興味のある人なら誰でも知っている……が映っていた。ここの主人は、ちょっと珍しい名字である。

吉原は、実物大のセットを作って、さらに、そこにインカメラVFXの技術をつかって、リアルに再現してみせるようだ。このドラマにおいて、吉原は、一つの見どころになるにちがいない。

ところで、やはり気になることがあり。蔦屋重三郎は、今でいうエンタメの分野において、出版で活躍した。これは、確かにそのとおりだろう。

だが、この背景として、江戸時代の出版文化全体をどうとらえるか、という視点が、見えているかどうか、である。黄表紙などだけが、江戸時代に読まれた本ではない。いわゆる浮世草子という類の出版物があったし、また、漢籍とそれに関連する書物、さらには、仏書が膨大にあったはずである。それぞれに、制作や流通のルートがあった。去年の『光る君へ』の『源氏物語』も江戸時代に板本として刊行されている。江戸時代は、今につづく日本の古典文学作品、その注釈書が、数多く刊行された時代でもあった。(その素地があり、国学という研究があったからこそ、現代の国文学、日本文学の研究がなりたっている。)

一方、板本が広く流通したからといって、写本ということが廃れたということでもない。多くの写本が写され、書かれていた時代でもあった。

そして、その背景には、識字率、リテラシということも考えなければならない。

『べらぼう』自体は、現代におけるドラマとして見ておけばいいのだが、そこで描くことになる、江戸時代の、特に出版文化の全体像ということをどう描くことになるか、これは、私としては少し気になっているところである。

あまり指摘されていないようなのだが、写楽はいったい誰になるのだろうか。これも、非常に気になっている。

2025年1月2日記
[テレビ]

コメント(全0件)
コメントをする


記事を書く
powered by ASAHIネット