『とと姉ちゃん』「常子、プロポーズされる」
2025-07-27


2025年7月27日 當山日出夫

『とと姉ちゃん』「常子、プロポーズされる」

この週で、少し年月がたっている。三女の美子が女学校に行っている。常子、鞠子と同じ学校である。たぶん、制作のコスト(制服など)の手間をはぶいたという印象がある。三姉妹が、同じ女学校に行かなくてもいいと思ったりもする。この時代、いくら東京とはいえ、女学校に行くのは、女性としては高学歴ということになるはずである。

ドラマの進行とともに、小橋の家のなかでは、いろいろと問題がある。常子が、父親から受け継いだ「家訓」は守るのが難しくなっていく。ただ、これも、浜松の家で、子どもたちが小さいうちのことであったと思えば、東京に来て、常子が働きに出て、妹たちも女学校に通っている、という状況では、難しいことはたしかだろう。

星野は、植物学の勉強を続けるために大阪に行くことになる。そこで、常子にプロポーズするのだが、常子としては、家族をおいて自分が大阪に行くことをためらう。このあたりは、小橋家の家長としての常子、ということになる。

このドラマの最初の放送のときも見ているのだが、そのときは特に気にならなかったことであるが、森田屋のお弁当屋さんの家族の描写が非常にいいと感じる。この時代、家族経営の深川のお弁当屋さんとは、こんなものだったのだろうか、という雰囲気をうまく出している。実際はどうだったかということは、考えることになるが、ドラマとしては、ごく自然な描き方で無理がない。

この森田屋に住まいする小橋の一家と、森田屋の人びとのとの、距離感の描写が絶妙にうまいと感じる。一つ屋根の下に暮らしている家族として、お互いに助け合うというところがある一方で、常子が初めてもらった給料で買ったお肉ですき焼きをするときは、これは常子たちのものだから、という。こういう微妙な距離感が、常子たちにとって、東京での生活を安穏なものにしていることになる。

2025年7月26日記

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