2025年8月20日 當山日出夫
100分de名著 サン=テグジュペリ“人間の大地” (3)砂漠に落っこちる
サン=テグジュペリの考え方のなかに、ニーチェの思想の影響を読み解こうとするのは、これはおそらくそのとおりなのだろうと思う。だが、この場合、時代の背景として、ニーチェが当時の西欧の人びとにどのように読まれるものであったのか、ということを、まず一般論になる、ふまえておくべきだろう。ニーチェは、いろんな影響を各方面に与えているので、ここのところは、慎重に考える必用があるかと思う。
GPSなど無い時代に、砂漠のうえを飛行機で飛ぶのは、危険というようなものではなかったはずである。こういうことを考えれば、それより昔の、大航海時代のことを思うことになるが。
人間の冒険心であり、また、ヒューマニズムであり、そのほか人間の有しているいろんな部分が、砂漠に不時着するという極限状況のなかで、いかんなく発揮されることになる。
ひるがえって考えてみることになるのだが、「一神教」という宗教が、歴史のなかでは、砂漠地帯に生まれたということは、砂漠に生きることによって、極限の状態での人間の存在ということを実感するところが、日常的にあったからなのかもしれない……というようなことを、思っているのだが、どうなのだろうか。
2025年8月19日記
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