2025年8月30日 當山日出夫
BS世界のドキュメンタリー 「印象派の夜明け 〓新しい表現への挑戦〓」
2024年、フランスの制作。
西洋美術史については、教科書的な知識しかもちあわせていない。19世紀のフランスの印象派の画家たちが、どんなふうだったか、ということを手際よくまとめてあったという印象である。(絵の映像と、再現ドラマを組み合わせるというのは、これも一つの番組の作り方だとは思う。)
思うこととしては、「風景」が美術の対象である、風景の中に美を見出す、こういうことが出来るようになったのは、近代になってからのこと、といっていいのだろう。美術史における「風景」については、たくさん論じられてきているところだとは思っている。
そして、人間の内面……個性といってもいいかもしれないが……を描くということも、また近代になって、自覚的に、芸術においてなされるようになってきたことになる。
美術のみならず、音楽や、文学、その他の芸術のいろんな分野とともに、まさに近代を象徴するのが、美術における印象派であったといっていいのだろう。
番組のなかで、「階級」ということばを使っていたが、フランスで作り、時代が19世紀のことだから、このことばを使うのは当然なのだろう。日本だと、あまり、使わないようにしているかと思うが。そして、言うまでもないことだから言っていなかったのだろうが、印象派の画家たちは、当時の社会の階級としては、どれぐらいの位置にいたのだろうか。そして、その生計は、どうなっていたのだろうか。
見ていて思ったことであるが、印象派の絵は、その後の写真の表現に影響を与えていることが分かる。こういうことは、美術史や写真史においては、常識的なことなのだろうと思うが。
フランスで印象派が生まれたころが、日本で明治維新がおこって近代社会に変わっていく時代だったことになる。この時代の精神……という大きな流れのなかで、芸術とか文学とかの近代(西欧のみならず日本においても)を、考えることになるのだろう。
2025年8月18日記
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