『白痴』(3)光文社古典新訳文庫
2018-12-25


2018-12-25 當山日出夫(とうやまひでお)

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ドストエフスキー.亀山郁夫(訳).『白痴』(3)(光文社古典新訳文庫).2018
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続きである。
やまもも書斎記 2018年12月24日
『白痴』(2)光文社古典新訳文庫
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『白痴』の第三巻を読んで感じるのは、相反する二つのこと。

第一には、『白痴』はこんなにも面白い人間ドラマであったのか、という再発見のようなものである。これまで、『白痴』は、何度か読んだことのある作品であるが、最後のナスターシヤの死の場面が強く印象に残っているというものの、それまでの人びとの言動などについては、あまり理解がおよばなかった。

だが、今回、亀山郁夫訳で読んでみて、その人間ドラマとしての面白さに引き込まれるようなところがあった。特に、中ででてくる、イッポリートの独白は、いったい何を意味しているのだろうか。いろいろ考えることはできようが、この告白の部分が興味深かった。

第二には、そうはいっても、では、この『白痴』という作品が、何を語っている小説なのかということになると、曖昧模糊としている。はっきりいってよくわからない。各巻の巻末にある「読書ガイド」を読んでみても、今ひとつ理解がおよばないところがある。

以上の二点……非常に面白い作品でありながら、いったい何を述べている小説なのか判然としない、これが、今回、『白痴』を久しぶりに読み返しての、いつわらざる感想でもある。この作品、ドストエフスキーの他の作品を読んで(再読)から、さらにもう一回読み返してみたい。

追記 2018-12-27
この続きは、
やまもも書斎記 2018年12月27日
『白痴』(4)光文社古典新訳文庫
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[文学]

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