2020-03-06 當山日出夫(とうやまひでお)
トルストイ.藤沼貴(訳).『復活』(下)(岩波文庫).岩波書店.2014
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続きである。
やまもも書斎記 2020年3月5日
『復活』(上)トルストイ/岩波文庫
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上巻に続けて下巻もほぼ一息に読んだ。だが、はっきり言って、この作品の結末がどうも今一つよくわからない、というのが正直なところ。
ネフリュードフとカチューシャの関係の結末が、なんとなくあっけない。
この文庫本の解説(藤沼貴、「トルストイの最後の長編小説『復活』、二〇〇九)を読むと、この小説は、一九世紀的リアリズムの小説ではない、ということらしい。作者は、さらにその次の段階の文学を目指していたようだ。
ただ、そうはいっても、読後感として残るのは、ある種の宗教的な感銘というべきものである。この作品の最後で、作者(トルストイ)の語っている宗教的なことばに、なるほどと感じるところがある、その一方で、ロシアのキリスト教については、どうにも理解が及ばないと感じるところがどうしてもある。やはり、ロシアのキリスト教についての理解、特に一九世紀から二〇世紀にかけての、についての知識が必要になる。
だが、よくわからないなりにも、この作品を読み終えて感じるところは、まさにトルストイならではの文学世界……それも、かなり宗教的な……を構築していることであり、それを、この訳文は見事に表現しているということである。この翻訳でなければ、かなり退屈して読んでしまったのではないかと思う。
2020年2月26日記
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